■IBMiへの回帰に合わせ、モダナイゼーションツールとしてSOFLAiを採用
■SOFLAi化にあたり、業務の抜本的な見直しを実施しシンプルな処理に作り替え
■ソフラとの役割分担で効率を重視した開発体制の実現
本社 | 愛知県小牧市 |
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創業 | 1946 (昭和21) 年3月 |
設立 | 1958 (昭和33) 年4月 |
資本金 | 5,500万円 |
従業員数 | 400名 |
営業品目 | 自動車用スイッチ製造・配線器具製造 |
URL | https://www.matsudadenki.co.jp/ |
株式会社松田電機工業所は愛知県小牧市で金型作製から部品の製造・組立・ライン設備の設計・製造、自動車用スイッチの製造を行っている企業である。
昭和21年の創業から75年以上に渡って日本の自動車産業を牽引する大手メーカー向けのスイッチを製造している。 また、同社は製品の設計から製造、加工、品質保証までを100%内製かつワンストップで行える事も強みとしており、クライアントそれぞれのオーダーメイド部品の製作も可能である。 モノづくりの原点が「創意と改善」にあると考える同社は、常に創意工夫を心がけ、製品の改善はもちろん、それを生み出す現場の改善にも取り組みを続けている。 2021年、同社が培ってきたノウハウを元に、製造現場を可視化する現場改善IoTツール「Genba Vision」(図表1)の提供を開始し、同社の創意と改善のスピリットを発信している。
同社の情報システムは、東芝のTOSBACシリーズから始まりIBM System/36、AS400を経て、現在はIBMiとIAサーバーにて稼動している。 当初こそパッケージを導入したが、現在は、総勢9名の情報システム部門によるスクラッチ開発体制を持つ。 同社の情報システム部門を率いる河村氏は「自社にシステム開発体制を持っているからこそ融通の効いた対応が行えています。」 続けて「例えば今日聞いたシステムの変更依頼を明日しなければならないという対応、これは社内でしか対応できません。 先に見積りを・・・というリードタイムは内作なら発生しませんから。」と、喫緊の対応への優位性を語る。 さらに「正直、ベンダーも保守というステータスになると優先順位が下がり気味で、そこがリードタイムになる事もあります。 そういう意味では当社の自動車業界における立ち位置が、スクラッチして丸投げという環境に合わないのかなと思います。」と、自社開発を貫く理由を語った。
2010年頃、同社はIBMiの基幹システムをIAサーバーへ移行する事を決定した。リスクヘッジの観点からの判断である。 財務会計・勤怠・生産管理の各システムを、外部ベンダーとの協業のもと順次置き換えていった。
生産管理システムの移行が完了した頃、河村氏は違和感に気付いたという。これまで現場の要望に対してその日のうちに対応がとれていたものが、これからはどうか。 現場だけでなく外注や取引先からの変更要望、IoTへの対応、業務改善の要求等、製造現場に求められる事柄は多岐に渡るのは目に見えている。 やはり日々の要求に即応していくには自社内の開発体制とIBMiだと痛感し、IBMiへの回帰と大きく舵を取る事となった。
しかし、一度Openシステムを体験した現場ユーザーがIBMiのグリーンスクリーンに納得するだろうか・・・河村氏はSOFLAiを思い出した。 実は河村氏、SOFLAセミナーに参加している。「RPGの既存システムと自社のRPG技術を活かし、Openと遜色ないシステムが作れるというコンセプトに好印象を持ちました。」と語る。 2018年、Openシフトを経験したうえでSOFLAiの導入を採用。SOFLAiの開発元であるソフラとの強力なパートナーシップのもと、同社のモダナイゼーションはスタートした。
2018年にIBMiへの回帰を決断し、同時にSOFLAiによる既存システムのモダナイゼーションをスタートした同社。
その主な取り組みを紹介する。
①熟練担当者しか出来なかった処理を見直して、2分で完結
同社が“海外処理”と呼ぶ一連の業務は、熟練の専任担当者が毎週決まった日に対応しなければならず、属人性が課題となっていた。 海外処理システムはCUI画面で作り込まれており、処理に紐付くメニューがいくつかあったりと複雑な手順と時間をかけた上でかんばんや帳票を出力する仕組みとなっていた。 これをSOFLA化するにあたり、単純に画面と帳票をSOFLAiのScreenDesigner(画面・帳票設計ツール)で作り直すだけでなく、同時にRPGの処理自体を見直してロジックも作り変えて処理全体をリフレッシュした。 SOFLAiで作り直してからは、4つのボタンをクリックするだけで2分程度で完了するようになり「実質1名の熟練担当者も休みが取れるようになりました。」と河村氏。(図表2)
②QRコードリーダーでのかんばん処理をさらに簡略化
同社のかんばん処理は、既にCUI画面ベースでQRコードリーダーとの連携が図られていた。 それをSOFLAiでさらに進化させた。 CUI版ではQRコードリーダーの操作アプリを同時に立上げて画面を切り替え指示を入れていた。 それをSOFLAi「QRコードオプション」で全ての指示をSOFLA画面に集約させ、メニューから一括操作できるよう簡略化した。 オペレーターは、かんばんの「読取り」「データ登録」「製品処理」「部品処理」から該当の処理をクリックするだけで自動的にQRコード読取り画面が起動する。 大量のかんばんを処理しなければならないオペレータの手間が極限まで最小化された事例である。(図表3)
③Genba Vision+IBMi+SOFLAiによるIoTの取組み
IoTツールとして同社が開発・販売している「Genba Vision」(図表1)は、製造設備の実績データを収集するデータロガーである。 同社の工場のライン各所には「Genba Vision」とモニターが設置されており、 モニター表示で設備稼働状況や製造実績の情報がリアルタイムに可視化できるようになっている。(図表4)
従来、手書きの日報ベースで製造実績を把握しそれをIBMiへ手入力していたが、その作業も全面撤廃され自動化されるとともに、 製造進捗状況もリアルタイムに把握できるよう改善された。
Genba Visionで取得した情報をIBMiに即座に連携し、SOFLAiで表現力豊かに状況照会できるようになったからである。 これには製造現場のみならず社内上層部からの評価も高く、今後に向けてのさらなる改善に期待も大きいと聞く。
同社では現在も自社開発体制でSOFLAiによるモダナイゼーションを進行中である。 ソフラとは、開発に関しての相談や難易度の高い開発部分を一部委託するなど、良きパートナーとしての関係性を継続している。 2022年3月、同社はSOFLAiの後継ソフト「SOFLAⅡi」を導入した。「基幹システムのWeb化」を実施する為である。 SOFLAⅡiの新機能「Web Access Plus」で、Webブラウザからアクセスできる環境を構築し、リモート環境を整える計画だ。 さらには設定だけのノンコーディングでアプリケーションプログラミングを実現した「SOFLA AG」による開発体制の構築など、 ソフラとの強固なパートナーシップで、着々とDXへの道を進んでいる。