生産現場でのISO要求書類を電子化に成功 (ペーパーレス)
作業現場に合った形のスピーディーな情報収集運用を実現
本格IoTに取り組む前の現場改善策
本社 | 兵庫県尼崎市 |
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創業 | 1930年4月 |
設立 | 2004年10月 |
資本金 | 2500万円 |
従業員数 | 68名 |
事業内容 | 各種精密部品の製造、組立 |
営業品目 | 航空機用精密部品、油圧機器用精密部品 フォークリフト用油圧リリーフバルブ 空圧機器用精密部品、他各種精密機器用小物部品 高級金属ステーショナリー設計・製造 |
URL | https://www.zero-seiko.com |
ゼロ精工株式会社は、兵庫県尼崎市に本社と工場を構える、航空機・油圧機器・空圧機器等で使用する精密部品の製造・組立をおこなう企業である。高度な技能を持つ技術者と高精度の生産設備を取り揃えており、ISO認証もISO 9001(品質)、ISO 14001(環境)、JIS Q 9100(航空宇宙)を取得している。
「Zero Defects with Accuracy」を合言葉に、超精密な高品質部品の国内製造にこだわり続け、世界に戦える製品を提供している。昨今では、その技術を生かして一般向けに金属製ステーショナリーの製造にも力を入れている。
同社とソフラとの出会いは2014年頃に遡る。「それまでの当社の生産管理システムは、いわゆる“市販のパッケージソフト”にJIS Q 9100に対応した結構なカスタマイズを付加したものです。ちょうど10年が経過しリニューアルを検討していく中で、同じようなカスタマイズを依頼するのであれば、パッケージでなくもっと航空機産業に即したシステムを一から立ち上げていこうという事になり、エンドユーザーへの企画提案力に優れたSIerとしてソフラさんをご紹介いただきました。」と同社の佐藤社長。
ソフラは自社製ミドルウェアSOFLAiによるゼロ精工様オリジナルの販売管理システムと生産管理システムのスクラッチ開発を提案。合わせて、安定した電気供給と徹底した温湿度管理・災害対策を講じたソフラクラウドセンターでの基幹システムのクラウドサービスで、サーバーを持たない基幹インフラのサブスクリプション方式をお薦めし、プロジェクトを開始することとなった。
プログラムは最終的に約900本に及び、今や現場に無くてはならないツールとして定着しているようだ。同社が最も力を入れて改善したのが工場内の運用改善、特に生産管理システムとISO要求書類のリンクと連動が目玉と言える。
ISOの要求する書類は種類も多く複雑である。同社では従来Excelで管理を行っていたが、それでは該当の書類を瞬時に探し出すことは出来ず、多大な時間を要していたという。今回の生産管理システムでは、必要な書類をスキャナで読込みデータ化したうえでSOFLAiの外部ファイル連携機能を用いてスキャンしたPDFデータを容易にシステムに連動させる仕組みを構築した。
現在では書類全体の7割程度がシステムから取得できるようになっており、その結果、工場内で必要な書類にタイムリーにアクセス出来るようになり、業務改善のみにとどまらず、取引先に対しても良い影響を及ぼしているという。
情報システム担当の松本氏も「今までは“出荷した製品のこの部品の材料は何か”という問いに答えるのに何十分もかかっていましたが新システムではサッと数秒で出てきます。ここは他社からも“凄いね”と言われます。」と語る。続けて「新システムでは、生産指示書に紐付いたミルシートや加工チェックシートをはじめ、お客様に提出している検査成績書も全てスキャンしてデータで保管しています。取引先の中には、当社のシステムからいつでも出せるからと紙の提出を止められた先様もおられます。」と語った。
図表1:製造現場
図表1:製造現場
新生産管理システムは、作業現場の業務の流れや人の動きの効率化に配慮した仕組みを各所で組み込んでいるのが特徴だ。
一例として製造現場の作業を紹介する。(図表2)
①作業指示書を端末横のバーコードスキャナーにかざす
②生産指示№や受注№等と紐付いた情報を瞬時に表示
③端末より必要な情報(日時や数量、コメントなど)を入力
現場の作業者が膨大な数の項目の中から目的の入力メニューを探し出す流れに無駄をなくし、指示書のバーコードをスキャンするだけで生産指示№や受注№等が読み込まれ、必要な項目を自動で表示する仕組みだ。作業者のストレスを軽減し素早く間違いのない入力業務が実現した。
一方、出荷場では端末をタブレットに変え、SOFLAiでタッチパネル画面を作り込んだ。可搬端末として持ち運び、製品のすぐそばで検品入力業務が行えるようになった。将来の本格IoTに先駆けた作業現場の効率化への取り組みと言えよう。
同社は、1階:工場、2階:事務所、3階:工場、4階:倉庫と、上下にロケーションが点在しており、作業の効率的な管理も課題の1つであった。これまでは商品を出荷するまでにフロアを上がったり降りたりを繰り返し、現状把握が容易ではなかったようだ。松本氏は「今回のシステム刷新でロケーション管理を徹底し、今は何処に何があるかが検索すればすぐにわかりるようになりました。さらに当社の生産は少量生産・短納期・短期間生産なので、一度立てた計画がよく変わります。その辺りも新システムで柔軟に対応頂きました。」と語る。
通常のパッケージソフトではなかなか対応が難しい所も、ソフラのソリューションで柔軟に対応し、IoTへの足掛かりとなり得る仕組みが実現した。
図表2:工場内作業
新生産管理システムは、立上げ時の戸惑いはあったものの、今ではすっかり定着した。同社では無くてはならないものになっているという。佐藤社長は更なるIT投資に積極的である。
「次は”本当に使えるSCM”に取り組みます。当社はメーカーへのサプライヤーでもあるので、在庫状況や生産状況をメーカーと共有できれば、さまざまな計画が立てやすくなり、無駄も排除されて効率よく在庫を持てるようになります。仮に“もしも”の事象が起こった時にも、わざわざ問合せを入れなくてもお客様側で調べることが出来ます。品質管理を双方でクリアに確認出来るというのも大きな強みになりますね。」と語る。
まずは、メインの取引先とのSCMをスタートする計画だ。
取引先をも巻き込んだサプライチェーン全体にメリットがあるだけに、関係先からの期待も大きい。